「え、打ち切りだったの…?」──そんな声をちらほら耳にするようになった『クレバテス』という作品。
紙の単行本の刊行が途絶えてしまったことで、SNSや掲示板に「打ち切り」の文字が浮上し、ファンの間に深い不安が広がっていました。
けれど、実際には連載は止まっていないのです。この記事では、「なぜ打ち切り説が生まれたのか」という疑問に寄り添いながら、連載の最新状況や新装版・アニメ化という新展開までを、一緒に紐解いていきたいと思います。
✔️打ち切り誤解の原因:単行本未刊行/連載一時非表示/出版社移行による紙展開の停滞
✔️最新状況:アニメ放送中(2025年7月~)/新装版コミックス刊行&LINEマンガで継続連載中
『クレバテス』は本当に打ち切られたのか?
「打ち切り」という言葉に敏感になるファンの気持ち、僕もよくわかります。
作品が途中で止まってしまうと、「ああ、この物語は終わっちゃったんだ」と心が折れてしまうものです。しかし、『クレバテス』は、決して終わっていません。
2024年頃から見られた「打ち切り説」は、あくまで表面的な状況によって生まれた誤解。紙の単行本が6巻で更新が止まり、その後書店で新刊を見かけなくなったことで、「完結した」「出版社に見放された」との風評が独り歩きしました。
しかし、LINEマンガでの連載は続いており、作者・岩原裕二先生も連載継続を明言。ファンとしては、やっと“物語は止まっていなかった”と安心できる事実です。
打ち切りと誤解された3つの理由
- 1. 単行本7巻が長期間出なかった
出版社側の事情も重なり、紙媒体での7巻刊行が遅延。この“見えない溝”がファンに「次は出ないのでは?」という不安を抱かせました。 - 2. LINEマンガで作品が一時的に見つかりにくくなった
デジタル配信サイトでは、掲載順やアルゴリズム変更で本来の連載作品が埋もれてしまうことも。視界から消えると連載も終わった気になってしまいます。 - 3. 出版社移行による展開の混乱
LINE Digital FrontierからKADOKAWAへの移籍に伴い、刊行スケジュールが一時ストップ。その間「この時点で打ち切りか?」という声が高まってしまったのです。
「途中で終わった」と感じた読者の気持ち
好きだと、期待も大きくなります。
「あの場面の続きが読みたい」「このキャラの成長を見届けたい」──そんな気持ちが深ければ深いほど、“空白の期間”は心に影を落とします。
書店に並ばない巻を見て、「もしかして作者が諦めた?」という噂が全国に広がりました。そして、実際には物語はLINEマンガで毎週更新されていても、気づかずに不安を抱え続けた人も多かったように思います。
「紙で出ないってだけで、終わったと思っちゃった…」
「続きあるなら、なんで出てこないの?」
そうした読者の心中に寄り添うことが、何よりも必要だったのではないかと、僕は思います。次章では、現状がいかにポジティブかを、安心して読んでもらえるように語っていきますね。
連載は今も続いている──“新しい物語”の場所へ
2024年、『クレバテス』はLINE Digital FrontierからKADOKAWAへと出版社を移行。その結果、紙媒体の刊行が再開され、これまで未刊行だった第7巻も2025年3月に発売されました。つまり、連載は水面下で続いていたのです。
連載は引き続きLINEマンガで毎週水曜日に更新されており、新たな章が始まるなど物語としてもターニングポイントを迎えています。紙でも、電子でも、好きなかたちで追える──そんな環境が整いつつある今、あらためてこの物語に触れてほしいと思うのです。
出版社の移行と紙媒体の“再出発”
出版社の移行は、作品にとっても、ファンにとっても大きな転機でした。
新装版の表紙や仕様も刷新され、これまでとは違う“再開の一冊”として手に取ることができます。物語が「続いている」だけでなく、「再び読者の元に届く」準備が整ったのです。
「まだ終わっていない」──物語の灯火を追う
「もう続きは読めないかもしれない」と感じたあの時間も、きっと無駄ではなかった。
『クレバテス』は確かに戻ってきた。だから今度は、またページをめくる番です。そこには、かつて夢中になった世界が、ちゃんと息づいています。
アニメ化という“もうひとつの再会”
そして2025年7月──『クレバテス』のTVアニメが放送スタート。
制作は『アイドリッシュセブン』などで知られるLay-duce。第1話は1時間スペシャルで放送され、アニメならではの動きや演出で、作品の魅力が新たなかたちで描かれています。
登場キャラクターの声優には中村悠一さんなど実力派が名を連ね、視聴者からも「想像以上にハマってる」「声でキャラが生き返った」と高評価。
「クレバテスってこんなに熱かったんだ」と再認識する声が多く上がっています。
動き出した時間、再び灯る“読者の記憶”
テレビから聞こえるあのセリフ、あの戦い、あの選択──それはかつて原作で心を動かされた瞬間の記憶。打ち切りではなかった。
それどころか、アニメという新たな姿で、作品は再びファンの前に現れた。そんな感慨に、きっと胸が熱くなるはずです。
なぜ“打ち切り”という言葉が広まりやすかったのか?
『クレバテス』に限らず、最近の漫画界では「打ち切り」や「終了」といった言葉が先行して広まりやすい傾向があります。
それは、作品そのものの質とは無関係に、“見えない期間”が不安を加速させる情報環境が影響しているのかもしれません。
ここでは、なぜそのような誤解が広まりやすいのか、背景を丁寧に紐解いていきます。
SNS時代の“誤解の伝播速度”
X(旧Twitter)やまとめブログを中心に、「作品名+打ち切り」がトレンド化しやすい構造が定着しています。特にタイトルやサムネイルのインパクトが強い記事は、内容の精度よりも“驚き”でクリックされやすく、真偽が曖昧なまま拡散されてしまうことも多いのです。
『クレバテス』も、紙の単行本が止まったタイミングで「打ち切り」というワードが一気に拡散。連載自体は継続していても、一部の誤解が独り歩きする形で広まり、真実より先に“印象”が浸透してしまったのです。
“単行本が出ない=打ち切り”という思い込み
紙の単行本が長期間発売されないだけで、「あ、これもう続かないんだな」と判断されてしまう──これは読者側に根づいた“見えない習慣”のようなものかもしれません。特に週刊少年ジャンプなどでは、巻数が伸び悩むとすぐ打ち切られるケースが多く、それが“単行本=生存証明”という意識に繋がっています。
『クレバテス』のように連載が電子で続いていても、「紙で出てない=終了」と早合点されてしまう。紙とデジタルの“出版テンポの違い”が誤解を助長する構造になっているのです。
読者が抱える「完結=失望」のトラウマ
作品が終わる。それ自体は避けられないことですが、読者にとっては「もうこの世界に触れられない」という喪失感を伴う大きな出来事です。特に感情移入していたキャラや物語に対して、急な幕引きがあればあるほど、その痛みは“未練”として残り続けます。
だからこそ、完結ではなく「打ち切り」という言葉が使われるとき、そこには“感情の整理”が込められているのかもしれません。「あれは途中で壊れてしまった物語だった」と納得するために、打ち切りという言葉が必要だった──そうした読者心理も、誤解の拡散を助けてしまったのです。
作品の魅力は「終わっていない」ことで再評価される
一度は「終わってしまった」と思われた作品が、実は今も続いている。その事実に触れた瞬間、読者の中にかつて感じた“好き”が静かに再燃することがあります。
『クレバテス』もまさにそうした作品のひとつ。ここでは、連載継続やアニメ化をきっかけに、作品の魅力が再評価されていくプロセスを見つめてみましょう。
物語が“生きている”という安心感
打ち切りではなかった──たったそれだけの情報でも、読者の中で閉じかけていた物語の扉が、ふたたび静かに開き始めることがあります。あの時のワクワク、あのシーンで感じた胸の痛み。それはすべて、途切れていなかった。そう思えるだけで、心の中の記憶がもう一度息を吹き返すのです。
「好きだった気持ちは、間違ってなかった」。この確認こそが、作品にとっての救済であり、読者にとっての安心でもあるのだと思います。
「あのときの気持ちは間違っていなかった」と確認できることは、作品にとっても読者にとっても救いになります。
「待っててよかった」と思える展開
新装版の刊行。そして、アニメ化の発表。こうした再展開は、単なるコンテンツ供給ではなく、「物語を待ち続けたファンへの贈り物」として受け取られることもあります。
特に『クレバテス』のように“姿が見えなかった時期”がある作品にとって、復活の知らせはひときわ大きな意味を持つのです。
「あのとき、信じて待っていてよかった」。そんな気持ちが芽生える瞬間こそ、物語が再び評価されるタイミング。評価とは数字だけで測れるものではなく、心に灯る熱量のことなのだと思います。
キャラクターの存在が“続いている”という意味
魔獣の王も、赤子も、屍の勇者も──彼らの物語はまだ終わっていません。
時間が空いたとしても、彼らは物語の中で確かに生き続け、葛藤し、前に進んでいる。連載の継続とは、そうした“キャラクターの存在を更新し続けること”でもあるのです。
ページをめくるたび、「ああ、まだこの世界に会えるんだ」と思えること。彼らは止まっていなかった──そう実感できるだけで、読者の心にも新たな感情が灯るのではないでしょうか。
まとめ:クレバテスは終わっていない。「信じて待ってた」すべての読者へ
たしかに、あのときは不安だった。次の巻が出ない、連載が見えない、誰も何も教えてくれない。でも『クレバテス』は、ちゃんと前に進んでいました。
新装版という形で読者の元に戻り、LINEマンガで物語を紡ぎ続け、そしてアニメ化という大きな節目も迎えた。「終わった」と思われた作品が、“信じていた読者”の元へ戻ってきた。それが、今の『クレバテス』の姿です。
ページを閉じたあの頃の自分に、今伝えたい言葉があります──「まだ、大丈夫だよ」と。
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