──「あのカラス、誰が声やってるの?」
それ、気になってたんですよね。
『鬼滅の刃』の世界に静かに寄り添う存在──それが“鎹鴉(かすがいがらす)”です。柱たちに任務を伝えるだけの存在かと思いきや、よく聴いてみると、どのカラスも「声」に個性がある。セリフは少ないのに、不思議と印象に残る。その理由のひとつが、実は“声優の演技”にあるんです。
「なんかこの声、クセになる」「この声、誰か知ってる気がする」──そんな感覚は、たぶんあなただけじゃありません。釘宮理恵さん、中尾隆聖さん、速水奨さん、堀江由衣さん……豪華なCV陣が、ただの“伝令”を“感情を宿す存在”へと変えていた。
今回は、そんな『鬼滅の刃』に登場する“カラスの声優”たちに焦点を当てて、キャラ別に、その「声の演技」が物語にもたらした余韻まで紐解いていきます。
炭治郎のカラス:山崎たくみ
煉獄のカラス:千葉進歩
無一郎のカラス(銀子):釘宮理恵
蜜璃のカラス(麗):堀江由衣
玄弥のカラス(榛):中尾隆聖
産屋敷のカラス:速水奨
鬼滅の刃「カラス」の声優一覧|誰がどのキャラを担当?
『鬼滅の刃』では、隊士ごとに鎹鴉が1羽ずつ与えられ、任務の伝達を担当します。そしてそのカラスたちは、決して“全員同じ声”ではありません。
実際には、それぞれの性格や関係性を踏まえて“配役”がされており、声優陣のバリエーションも非常に豪華。まずは、各キャラに対応するカラスと声優を一覧で見てみましょう。
あのカラスの名前と声優が意外すぎた件
たとえば、炭治郎のカラス「天王寺松右衛門」を演じるのは山崎たくみさん。シリアスながらもどこか親しみやすい声色で、炭治郎の人柄に寄り添うような演技が光ります。
一方、煉獄杏寿郎のカラス「要」は、千葉進歩さんが担当。力強さと理知を兼ね備えた声が、煉獄の信念と重なるのが印象的でした。
声だけでキャラの“性格”が伝わる配役力
銀子(無一郎のカラス)を釘宮理恵さん、麗(蜜璃のカラス)を堀江由衣さんが演じることで、それぞれの“甘さ”“親しみ”が声に滲んでいます。
さらに、中尾隆聖さん演じる榛(玄弥のカラス)は、どこか癖のある“狂気と重さ”を内包し、玄弥というキャラの孤独さを逆照射するようでした。
そして、産屋敷のカラスを演じたのは速水奨さん。たった一声で「静けさ」と「威厳」を同時に感じさせる声に、思わず鳥肌が立った人も多いのではないでしょうか。
キャラごとに異なる“声の性格”|印象に残る演技の妙
『鬼滅の刃』におけるカラスたちは、見た目こそ似通っていても、“声”で驚くほどキャラクター性を持っています。その違いは、声優たちの演技によって繊細に描き分けられているのです。
釘宮理恵の“銀子”が溺愛する声だった理由
時透無一郎のカラス「銀子」は、釘宮理恵さんが演じています。無一郎のことが大好きで、少し暴走気味に愛を注ぐキャラ。釘宮さん特有のハイトーンで感情過多な演技が、銀子の“過剰な愛情”と見事に重なります。
例えるなら、無一郎が静かな月のような存在だとすれば、銀子はその月を独占したい星のようなもの。釘宮さんの声が、その“引力”をきっちりと形にしていたんです。
堀江由衣が演じる“麗”の恥じらいと可愛さ
甘露寺蜜璃のカラス「麗」は、非常に可愛らしく恥ずかしがり屋なキャラクター。声優は堀江由衣さんで、その優しくて透き通るような声が、麗の“奥ゆかしさ”を柔らかく包んでいます。
蜜璃の明るくてピュアな性格に寄り添いながら、どこか彼女の“少女らしさ”を補完するような演技。言葉数は少なくても、聞こえてきた瞬間に「かわいい…」と思わせる声の力は、堀江さんならではでした。
中尾隆聖が吹き込んだ“毒”と“哀しみ”
不死川玄弥のカラス「榛」を担当する中尾隆聖さんの演技も特筆に値します。彼の代名詞とも言える“ひねくれた声色”に加えて、どこか痛みを帯びた哀愁が込められているように感じられます。
玄弥の孤独や苦悩を、そのまま背負うように鳴く榛。その「声」は、彼の心の内を代弁しているようにも聞こえました。
速水奨の“低音の包囲網”が作った威厳
産屋敷耀哉のカラスは、速水奨さん。登場シーンは決して多くないにもかかわらず、その低く落ち着いた声には、聞き手の心を鎮めるような静けさと威圧感が同居しています。
“死”に寄り添うカラスの声として、これ以上ないほどの説得力。あの一声があるだけで、場面の空気がピンと張り詰める──それほどに強い“声の演出”でした。
「えっこの人だったの?」という発見と意外性
『鬼滅の刃』のカラスに声がついていると知ったとき、多くの視聴者が驚いたのは「誰が演じているか」でした。普段は主役級や個性派を演じる声優たちが、あえて“脇役のカラス”を担当する──そのギャップが、むしろ強い印象を残しているのかもしれません。
中尾隆聖のカラス=“あの声”のギャップに驚く
中尾隆聖さんといえば、『ドラゴンボール』のフリーザ役で有名です。その彼が、玄弥のカラス・榛を演じていると知った時、多くの人が「えっ!? あの声、中尾さんだったの?」と驚いたはず。
榛のセリフは短く抑制されていますが、その抑えた中にも「不穏さ」や「孤独感」がにじむ演技は、まさに中尾さんだからこその“静かな凄み”です。声に宿る重さが、玄弥というキャラの深層を引き出していたように思います。
山崎たくみの低音が炭治郎に寄り添う理由
炭治郎のカラス・天王寺松右衛門を演じるのは、山崎たくみさん。山崎さんはこれまでにもアニメ・吹き替えで幅広く活躍されていますが、ここでは低音で落ち着いた“親しみと冷静さ”を両立した声を聴かせてくれます。
カラスは基本的に命令を伝える立場ですが、炭治郎とともに旅をしている中で、その声からは“応援”にも似た気持ちがにじむ場面も。言葉のトーンだけで関係性の変化を表現しているのは、ベテランならではの演技力です。
速水奨の一声が、“人間ではない重み”を持たせる
声の出演が明かされたときに一番話題になったのが、速水奨さんの産屋敷のカラスです。ひとこと発するだけで、「このカラス、何か違う…」と視聴者の耳が反応する。そんな“異質な存在感”を見事に演じ切っていました。
産屋敷という“運命を受け入れる者”に寄り添うカラスに必要だったのは、言葉以上の“気配”。その役を、あの低く柔らかな声で成立させてしまう。思わず「これ、速水さん!?」とリピート再生したくなる一瞬です。
演出としての“カラス”が持つ意味と役割
『鬼滅の刃』に登場する鎹鴉(かすがいがらす)は、ただの情報伝達係ではありません。むしろ“声を持った存在”として登場させたことで、演出上の意味がより深く、象徴的に描かれていると感じられます。
鎹鴉という存在がキャラの“孤独”を照らす
鬼殺隊は基本的に単独行動が多く、仲間がいてもいつ命を落とすかわからない世界。そんな中で、唯一常に傍にいるのが鎹鴉です。その声があることで、彼らは“完全な孤独”から救われているようにも見えるんです。
たとえば、玄弥のように家族との断絶を抱える者にとって、榛の声は“誰かに見守られている証”でもある。一羽のカラスの声が、キャラの心を繋ぎとめている。そんな心理的な支えのような演出も感じられます。
セリフの少なさが“声”を印象的にした演出技法
カラスのセリフは基本的に短く、必要最低限です。だからこそ、その一言に込められた声の表情が、逆にとても強く残る。これは“沈黙の中で語る”という演出意図でもあります。
言葉を多くしないことで、声そのものが際立つ。声優の力量が問われるこの演出は、観る側にも“聴こうとする意識”を生み、視覚的な演出と見事に重なっていきます。
カラスたちは、実は言葉数以上に“場の空気”を運ぶ存在なのかもしれません。
あの声が、物語に残した“余韻”
『鬼滅の刃』のカラスたちは、登場時間は短くても、なぜか記憶に残る──その理由のひとつは、“声”が物語の中に余韻を残しているからだと思うんです。
速水奨のカラスが描いた“死の静けさ”
「柱稽古編」で登場した産屋敷のカラスの声は、静寂の中にただ一言を残す。それだけで“死の予感”が視聴者に伝わってきます。
速水奨さんの低音には、語らずして語る力がある。その声は、まるで“葬送の鐘”のように、聞く者の心を深く揺らすんです。
彼の声によって、産屋敷という人物の存在そのものにも“格”が宿る。言葉を削った演出と、豊かすぎる声の演技が響き合った、まさに名演でした。
声優の“色”が作品世界の輪郭をなぞる
釘宮理恵さんの銀子、堀江由衣さんの麗、中尾隆聖さんの榛……それぞれの声がキャラに重なることで、“無機質な鳥”が“物語の一部”へと変わっていく。
演技の“色”が作品に馴染むことで、ただの情報を運ぶ役ではなく、“気配”や“想い”まで運ぶ存在になる。これこそが、声優という表現者の力であり、カラスという存在に与えられた演出上の深みなのだと思います。
それぞれの“声”が、まるで風景の一部のように作品世界に溶け込み、ラストシーンを観終えた後にも、ふっと耳に残っている──。それが、『鬼滅の刃』における“カラスの声”の魅力なのかもしれません。
【まとめ】
『鬼滅の刃』に登場する鎹鴉は、ただの脇役ではありません。声優たちが魂を込めて演じることで、それぞれのカラスがキャラクター性を持ち、視聴者の記憶に残る存在となっています。
釘宮理恵さんの“愛”、中尾隆聖さんの“哀”、速水奨さんの“静”、そして山崎たくみさんの“寄り添い”。
その“声”の選択こそが、作品の空気を豊かにし、物語の余韻を残したのだと思います。
もしかすると、次に『鬼滅の刃』を観るとき──あなたは“カラスの声”に、もう一度耳を澄ませたくなるかもしれません。
コメント